とあるS.E.M担当Pが高校を卒業する話。

2014年。アイマス好きな友人に勧められたのがSideMでした。

アイマスは名前こそ知ってはいましたが、触れたのはこの時がはじめてでした。「あれ、アイマスって女の子のアイドルが出てくるんじゃないのか」とびっくりもしたと思います。確か。



友人はまず、「目ぇ閉じて、私が開けていいよって言ったら、この中から気になるアイドルを直感で選んでみて」と言われました。言われた通りに目を閉じて、友人の合図でぱっと顔を上げると、PCの画面にはリリース当時いたF-LAGS、Legendersを除く13ユニットの画像が並んでいました。


「直感で」と言われたので、あんまり悩むのもなんだかなぁと素早く目を走らせていると、




なんだかすごく、ひと際異彩を放つ、ピンクのビッッッッカビカな男三人衆がいるじゃないですか。



迷わず彼らを指差しました。











S.E.Mでした。



「三人は元高校教師だよ」と友人に教えられました。


当時の私は中学三年生で、高校が一体どういう雰囲気の場所なのかあまり想像がつかなかったのですが、彼らの経歴が異色であることはなんとなく分かりました。『教員免許を持っている』ならまだしも、一度なってから辞めた、というのはなかなかにインパクトが大きかったです。

(※この後すぐに通常雑誌でのハイスピード辞職に驚かされることになります)



毎日顔を合わせている先生がある日突然アイドルになるだなんて明らかに異常事態で、そんなことが仮に起きたとして到底すぐには飲み込められないだろうなとも思いました。




最初は完全にビジュアルで、「なんだこの人たち(の衣装)かっけー!」という感じだったんですが、彼らがアイドルになった理由(ワケ)、アイドルになった彼らが今後どうしたいのか、それらに触れることで、その内情にも惹かれていくようになりました。


そこから彼らの担当Pになる決意をするスピードは早かったです。


もうすぐ高校生になるおかきPがこの時誕生しました。

 


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高校に入学すると、慣れない環境に適応するために一生懸命になり、時間の流れがあっという間でした。


時間がどれだけあっても足りないような日々が続く中、一学期はあっという間に終わり、夏休みに突入しました。


忘れもしない、2015年8月。二学期が始まって間もない頃に行われた三回目のワケ生の放送。


ゲームで何度も見てきた台詞を喋る先生たちがそこにはいました。


皆さんは担当アイドルがはじめて喋った時、一体どのようなお気持ちだったのでしょうか?

私の場合はその時、何が起きたのか分からなくて呆然とし、ハッと気付いた時にはいつの間にか泣いていた…という風でした。




これが、生徒たちを導く声なんだな。

我々に可能性を示してくれる声なんだな。


その日の夜はあまり眠れなかったです。




SL06の試聴が始まるやいなや、一日に何十回も、家で、学校で、発売日まで何度も何度も、同じフレーズを聴いてはまた再生ボタンを押していました。


待ちに待った発売日になると、終礼が終わったその足で駅へ直行し電車に乗り込んで、アニメイトに向かいました。

レジに担当アイドルのCDを持って並んでいる時のあのワクワク感は今でも覚えています。


まっすぐ家に帰ってCDを開封しすぐに聴きました。一巡目は泣きすぎてちゃんと聴けませんでした。二巡目、三巡目、繰り返し聴いて、歌詞のひとつひとつを噛み締めて、歌声を耳に刻み込んで、三人のやりとり、Wを交えた五人でのやりとりもそらで言える程度には聞き込んで、そうやって数日は過ぎていきました。


それからは、課題を解いている時やテスト勉強中は、いつも彼らの声に励まされるようにして、CDを何度も再生していました。





高校生活にも慣れ始めた一、二年生の間の時期。


もうすごかった。

12月に1stライブがあり、年が明けて超音楽祭、二周年アニバCD、オリピでのソロ曲、怒涛の勢いで展開される公式の動き。




そしてそれはゲームも例外ではなくて、ゲームのイベントの中で彼らは次々と新しいことに挑戦し、『可能性は無限大』を体現していく。


どんどん広がっていく彼らの世界。

私自身、そんな彼らの急成長に驚かされることも多くなっていきました。


やがてその『驚き』が『戸惑い』に変わっていくのに、そう時間はかからなかったと思います。





きっかけは、更に年が明けた2017年1月、『浅草絢爛歌謡祭』での硲先生のこの台詞。

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もっと言うと、最初に「ん?」と思い始めたのは、それよりずっと前のイベント『鳥籠の輪舞曲』でのこの台詞。


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結論から先に言ってしまうと、私は今までずっと、彼ら…少なくとも硲先生は、いつか教職に戻るのだろうなぁ、とぼんやり思っていた…という話です。勿論、まだまだ先の未来の話で、メタ的な話で言うと『アイドルマスターSideM』というコンテンツが続く限りそんなことはありえないのですが。


というか、寧ろ願望だったんですよね。彼には最後には教員に戻ってほしいって2年近くずっと願っていました。そんなことを頭の片隅で考えながらずっと担当を名乗ってきました。


おいおい、ちょっと、それならお前はなんでアイドル硲道夫をプロデュースしてるんだって話になるんですが…。


私は多分、悔しかったのかなぁ。惜しいと思っていたのかもしれない。

自分自身が高校生だったが故の、ちょっとした贅沢なワガママだったのかもしれないです。

「私もこんな先生のもとで学べたら…」という思いが常にチラついていました。


でもプロデューサーとしての私は、"かつて教師だった一人の男性"である硲道夫ではなくて、"アイドル"硲道夫を見ている。


当の硲先生は、かつての自分は鳥籠の中のように狭い世界で生きていたと思っていて。アイドルとして自由になれたからこそ、今の彼があるわけで。


私が「学びたい」と思っている対象は、"アイドル"硲道夫で……。









私の気持ちだけが置いていかれたまま、硲先生はどんどんアイドルとして花開いていく。「S.E.Mの歌が好き」という元教え子からの生の声(手紙)が届いたりと、教師時代には叶えられなかったことが、アイドル活動を通して確実に実を結んでいってるし、表情も柔らかくなったし、「一秒も無駄にしたくない」とか、「時は金なり」とか言っていた彼が、とうとう「急いては事を仕損じる」とさえ言うようになった。硲先生は自分の選択は正しかったのだと自信を持って言えるようになった。アイドルになったのは正しかったって。先生は既にそう答えを示した。




じゃあ私は?

私がずっと見たかった彼の姿は?

私は彼に何を求めていた?

彼の出した答えと私の答えは一致してる?






んー?



今考えるとかなりヘンテコな考え方だなぁと思うのですが、当時はここらへんでゴチャゴチャと考え込んでしまって、少し自分を落ち着かせる時間が欲しいなと思い始めます。



そして2月、2ndライブ。

2ndは単体で観ても素晴らしいライブだったので、S.E.Mのパフォーマンスを見て素直に泣けましたし、見て良かったなと思えました。アプリ(エムステ)も、アニメ化も、これでもかと喜びました。


ただ、私の独り善がりで頑固な想いだけが、どうしても足を引っ張っていました。







そんなゴチャゴチャした気持ちを抱えたまま、三年生へと突入。ラストイヤー。とうとう受験生です。



難しくなっていく授業についていくのに必死になったり、進路について色々な課題が浮き彫りになっていき、やけに神経質になってピリピリ、イライラすることも増えていきました。



課題の〆切、講習の日程、オープンキャンパス、模試の開催日に申し込み、入金の〆切ばかりがツラツラと書かれ、黒い文字でページがぐちゃぐちゃに埋められているS.E.Mのスケジュール帳を毎日眺めて、




ある時、ああ、だめだ、と思いました。




なんにも興味が湧かない。何を見ても感動しない。ただただ疲れる。朝起きて、学校に行って、授業を受けて、家に帰って食って寝て、また起きて、学校に行って授業を受けて……の繰り返し。


去年の7、8月ぐらいのことです。




その時にはもう、アニメ化目前で、いろんなことが動き出していて、3rdライブの開催も決まっていて、いつもの私なら嬉しすぎて大暴れしていそうなのに、その時は、どれもこれも全部どこか他人事のように思ってしまっていて。

ゲームでS.E.Mが新しいお仕事に取り組んでいる様子を見ても、素直に喜べなくて。


何かは分からない。ただ、漠然と「まずいな」と、「やばいぞ」と、心のどこかで自分がそう言っていました。





ちょうど受験勉強も本格的に追い込みの時期に入ったので、それを良いことに、上手いこと自分の中で合理化してゲームから暫く離れようと、この時決めました。







ただそれでも、アニメだけは観ていました。秋アニメはSideM一本だけ。なんだかんだ言って半年ちょっとの間ずっと楽しみにしていたので。






5話『先生よ、大志を抱け!』を観ました。



S.E.Mのメイン回。


S.E.Mが受験生たちに向かってエールを送っていました。








こんなに泣いたのはいつ振りだろう、とどこかでぼんやり考えている自分がいました。ああ、はじめてS.E.Mの声を聞いた時以来だわ、みたいなことも。



この時の自分はたまに見かける「私なんかが◯◯の担当Pでいいのだろうか…」と思い悩む時期…というよりかは、彼らへの関心も、情熱も、ペランと剥がれ落ちていて、悩む以前の、それよりもっと虚しい状態でした。




だから、S.E.MPとしてではなく、くたびれているいち受験生として、まるであの会場にいる人間の一人であるかのように彼らを見ていました。


彼らの言葉はひたすらまっすぐ生徒たちに向かって投げかけられていて、そのひとつひとつを、そのまま、自分もまっすぐ受け取っていました。







舞田さん。総理大臣になるのが夢とか初耳だよ。ジョークかもしれないけど。

でも諦めなかったら可能性はゼロじゃないし、夢なら大きすぎても全然かっこ悪くないよね。






次郎ちゃん。しんどい。今すごくしんどいよ。

でも次郎ちゃんが「今だけでも楽しんでいってくれ」って言ってくれるだけですごく元気になれるし、確実に誰かが頑張るための力になってるよ。





硲先生。たとえ環境が変わっても、あなたにとっての『生徒』という存在への想いは決して揺るがないんですね。そのことをずっと前から分かっていたはずなのに、私は、自分が進む道に躓くことになる今の今まで、あなたを理解しているつもりで、全然できていなかったんだなって、やっと分かりました。






かつて一目惚れしたギンギラのスーツで、汗を流しながら、もう何度聴いたか分からない『Study Equal Magic!』を全力で歌って踊るS.E.Mの姿は、確かに若者を導くパワーに満ちていて、「彼らは最高のアイドルだ!」と、改めてそう強く思いました。


そして私は、彼らが歌う5話ED『From Teacher To Future!』を、CDを買ってから受験を終える日まで、一日も欠かさず聴き続けることになります。







今はエムステの配信やアニメの放送などもあってどうかは分かりませんが、私がSideMを始めた当初、周りには成人済みのPが多い印象でした。


そんな中、たまに聞いたのが「S.E.Mみたいな先生にもっと早く出会いたかった」という声。




自分は、たまたまS.E.Mみたいな先生…というよりS.E.Mそのものと既に出会った状態から高校三年間を過ごしてきましたが、やはり私が彼らに強く惹かれるのは、「いくつになっても夢を追い続けていいんだ」ということを自らが体現し、我々に示しているその姿です。アニメの次郎ちゃんの言葉を借りるなら、「遅すぎることなんて、何もない」ということ。




なら、彼らからそれを学んで、これから高校を卒業する自分がそれをどうやって生かしていけるのか。


私は、進学先こそ決まりましたが、これといった具体的な夢はまだ見つかっていません。


ですが、より深く学びたいもの、知りたいことは、幸いうんざりするほど沢山あります。それらを、広く浅くではなく、欲張って、広く深く学んでいきたい。


でもそれには沢山の時間が必要です。

もしかしたら、他の人より歩幅は狭いかもしれない。歩くスピードはゆっくりになってしまうかもしれない。

そうなると、親にも周りの人にも更に迷惑をかけてしまうことになるかも。


でも、それでも知りたい。その先に自分が本当にやりたいと思うものが見つかるかもしれないから。


敢えてこういう書き方をしますが、彼らはあくまで架空の存在で、彼らがこれまで示してきたようには、現実には上手くいかないかもしれない。


だけど、それでもやってみたいと思えたのは、紛れもなくS.E.Mのおかげです。




これは私がS.E.Mから三年かけて学んだことであり、自分自身の意志です。




大学生活がどのようなものなのか。まだ未知な部分が多く、不安も勿論ありますが、自分なりに、可能性を沢山見つけられたらな、と。何より今は、それが楽しみで仕方ありません!












まずは胸を張って、卒業式に臨みます!行ってきます!







<おまけ>

一般入試前に背中を押してくれてありがとう、節分イベ……。


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